水曜どうでしょうに影響されて原付ベトナム縦断した時の回想 2日目
2019/03/03 2日目
1日目はこちら。
ゲストハウス「はっぴーはうす」にて。
朝、目が覚めて腕時計を見ると7時すぎだった。
8時にレンタルバイクを引き取ることになっていたしベッドから出る。
昨晩はベッドに潜り込んでからも道路からクラクションが聞こえ続けて、なかなか寝れなかったが、朝はとても静かだった。
まだ他のゲストが寝ている中、静かに準備を完了した。
ベトナム初バイクだから早めに出発したかったけど、日本人以外は時間にルーズだろうと思って、8時15分ぐらいに店に着いた。
しかし店が開いていなくて、「ほんとテキトーなんだなw」と思いつつ、宿に戻る。
そして気づいた、時差という概念に。(遅
そういえばベトナムは日本時間より2時間戻るんだった。
そもそも腕時計を合わせていなかった。
7時に起きたと思っていたのが実は5時で、8時を過ぎても開店してないのではなくて、まだ6時過ぎたぐらいだった。
仕方ないので宿でスマホをいじって時間を潰す。当時のツイートがこれ。
掃除を始めたヘルパーのおじいちゃんと話したり、他のゲストも起きて出発したり。
だらだら時間を潰してやっと本当に8時になった。再度、バイク店へ行く。
レンタルバイク屋「スタイルモーターバイク」
昨日もいたイケメン店員にシンチャオ(こんにちは)と挨拶して、昨日スマホで撮った契約書を見せる。
「昨日レンタルバイクを契約した者です、受け取りに来ました」なんて俺には話せないから。
昨日会ったとは言え、俺を覚えていたのかわからないけど、言いたいことは理解してくれたようで、バイクを準備し始める。
おしゃべり(ただし何言ってるか不明)な店員の兄ちゃんが、昨日契約したウェーブα(中身はスーパーカブ)に謎の鉄棒をくくり付けだした。
…? …あ、これキャリアだわ!!!
ゴムひもでくくりつけるだけのスーパー簡易キャリアだったw
日本のバイク乗りとしては、これで長距離ツーするなんて信じられないテキトーさ。
一応、キャリアが無くてもシート後部にバッグを積載できるようにショックコードは持ってきてあったんだけど、要らなかった。
でもむしろ走ってる途中でキャリアごと落下しそうでそっちが不安になる。
そんな不安は他所に、おしゃべり兄ちゃんが燃料計を指さして何か話し出した。めっちゃ笑顔だけど何言ってるかわからん。
何言ってるかわからないけど、「ガソリン満タンだからな?」ってことだと勝手に理解しておいた。
「オーケー」を連発する俺。
次はエンジン始動やシフトチェンジのやり方を教えてくれる。
日本でクロスカブに乗ってるので教えてくれなくても操作はわかるんだけど、そう言葉で伝えれないので大人しく聞く。
兄ちゃんは次にヘルメットを持ってきたが、シールドが無かったので、「プリーズ」って言いながらシールドを上げ下げするジェスチャーをしたら、シールド付きに変えてくれた。
すげー、こんなテキトーで通じるもんなのねー。
バイク乗りの装備で一番大事なものがヘルメットだけど、持つと貧弱なのがすぐわかった…。事故ったら終わりだと本能が告げてくる。
日本で使ってるショーエイのJフォースより圧倒的に軽い。あの軽量メットより軽いとか絶対おかしい。
普段バイクに乗らない人ならそんなに違和感は無いんだろうけど、乗ってる人からしたら怖すぎた。
でも他に無いだろうし、仕方ない。
正規ディーラーでも無い限り、ちゃんとしたメットは売ってなさそうだし、それを訪ねる会話力が無いので諦める。
準備完了してエンジン始動。
ボボボボボボボ、と聞き慣れた排気音。
何だか安心する。この子とならベトナムを走りきれる気がした。
店員にサンキューとだけ言って、ついに縦断の旅が始まった。
とりあえず、ハノイ旧市街を出てアジアハイウェイ、略称「AH1」に合流しなければいけない。
グーグルマップで道を確認しつつ、AH1を目指す。
アジアハイウェイはQLA1とも表示されるので間違えないようにしなければいけない。
ハノイから、この日の目的地であるニンビンの街まで、約100km。
日本なら名古屋から琵琶湖まで走るぐらいの距離なので、プチツーリングみたいなもの。
1日目は大変だろうと思って、距離を短めに計画してある。
ウェーブαはクロスカブと同じ110ccだから加速も減速も似たようなものだと思ったけど、フロントブレーキが全然効かなくて減速しづらい。
でも店に戻ったところで会話できない。
リヤブレーキ多め+エンジンブレーキに頼ることにした。
とりあえず走ってくれてるのでそのまま進む。
道路に人権が無い!
旧市街は住宅街でまだマシだったけど、大きい道路に出ると交通量が多いからもうすごかった!
とにかく原付同士、車同士の距離が近すぎて怖い!
原付も車も横スレッスレで追い抜いていく。
「バイクより大きい車のが強いんだから優先だろ」って言われてる気がする。
水曜どうでしょう班の気持ちがとてもよくわかった。
自転車も歩行者も、目の前にどれだけ車が走っていても道路を横断してくる。というかどの車も止まらないから横断するしかないんだ。
歩行者優先なんて優しい気配りなど存在しない。
信号待ちでは原付と原付の隙間に原付が入り込んできて、もうぎゅうぎゅう詰めだ。
日本で例えるなら、1車線に4、5台の原付が横並びする感じです。
信号にはあと何秒で信号が切り替わるかの電光表示があるんだけど、青信号に変わる3秒前くらいには発進しないと、後ろからクラクションを鳴らされる。
ナンデ?!まだ赤信号なんだけど!
右側通行にはすぐ慣れた。
というかその程度サッサと慣れないと話にならない。
赤信号でも右折OKだから、青信号でも油断できない。これは慣れようがない。
高速バスはクラクション鳴らしまくって原付を押しのけて突っ走っていく…。
生き残りたい♪生き残りたい♪まだ生きていたくなる~♪
いつのまにか、脳内でマクロスFの「ライオン」がループ再生されていた…。
アジアハイウェイ、AH1に合流。
交通量の多い道では写真を撮るために端に寄るのさえ怖くて、やっと撮れた。
AH1の青看板はわかりやすい。
日本と同じように、行き先を示す青看板にはその街の名前と方向が表示されていることが多い。
ベトナム文字は、フランスの植民地化以降に普及したローマ字表記に、補助記号が付いているだけだから、とりあえず読める。
例えば「 Hồ Chí Minh 」。ホーチミンだ、読める。
街の名前さえ覚えていれば、その矢印の方向へ進めば良い。
その点だけ考えれば、ベトナムを走るのは簡単かもしれない。
幹線道路?になるAH1をしばらく走ってわかったけど、どうやら車線の区分も日本と逆で、一番左側の車線が車用の追い越し車線、右側が原付。遅い車両ほど右側を走るルールらしい。
だからと言って右側が安全かと言えば、別にそうでもない。
なぜならウィンカーを出して外側の車線を走れば、逆走が合法らしい。
逆走する原付は、自分から見て一番右端を走ってくるから、避けなければ正面衝突する。
路側帯みたいな白線があるけど、みんな自由に走ってるので、ルールがわからん。
速度制限はわからないけど、60と書かれた看板を頻繁に見たから60km制限っぽい。
とにかく、何でも周りを観察してそれに合わせるしかない。
「郷に入っては郷に従え」ということわざがあるけど、あれは過大な表現でも何でもなくて、自分の命を守るためのガチなやり方なのだと、理解した。
道路は舗装されているが、埃っぽいからマスクを日本から持ち込んで正解だった。
ベトナム人でも運転中にマスクしてる人はたくさんいる。
とにかく自分の常識が一切通じないことを痛感しながら走り続けた。
燃料計を確認。
1時間以上走ってそろそろガソリンが減ったかなと思ったのだ。
でもまだ針は満タンを差している。さすがカブ系、低燃費!
その後1時間ぐらい走っても針が動かない。
コレ壊れてるわ!
出発前の店員の兄ちゃんの燃料計確認は何だったのか…。
もしかして、「ガソリン満タン入ってますからね」じゃなくて、「燃料計壊れてるんやでwまぁ気にせんといてやw」だったのか。
そういえば、スマホホルダーもこんなんだし。
輪ゴム!
確かにスマホホルダーは付いてるけど、ただのスマホ置き場になっていて、ホールドはしていないw
何から何までツッコミどころ満載で忙しい。
燃料計は壊れてるけど、走った時間から逆算してガソリンは少ないはず。
ガソリンスタンドを探しながら走ることにする。
給油関係のことは日本にいる時に調べておいた。
ガソリンスタンドの外観は日本と同じなのですぐわかる。
特に、ベトナム国営石油会社「ペトロリミックス」がわかりやすい。青い背景にオレンジ色のPマーク。
ベトナムではガソリンスタンドでスマホを使うのは厳禁。中国製スマホが爆発しまくったせいらしい。
だから写真が無いけど許して下さい…。
日本と同じようにガソリンだけでなく軽油とかも給油できるから間違えないように、Xăng(サン。ベトナム語でガソリン)と書いてある給油機の前へ。
「Xăng RON」のRONはオクタン価の事。以前はレギュラーとハイオクがあったらしいが今はハイオクしかないらしい。
給油機の前に止めると店員が来るので、シートを開けて燃料タンクの蓋を開ける。
店員には、đầy(ダイ)と伝える。ベトナム語で「いっぱい」、つまり満タン。
給油機のメーターにTỔNG SỐと書いてあるのが合計金額。2万ドンぐらい給油した。
2万ドンは約100円。安いw
燃料計が壊れてるウェーブαちゃんはもちろん走行距離メーターも無いから、走った時間で残燃料を計算するしかない。
G-SHOCK持ってて良かった!
ウェーブちゃんの燃料タンクは約3L、整備やオイルが悪いことを加味して燃費は悪くてリッター50kmぐらいとして、連続巡航150kmと推測。
時速50~60kmで走ってるから、ガソリンスタンドが見つからない場合を想定して、2時間走ったら絶対給油することにした。
ベトナム北部の乾季は涼しいくらいだし、気温的にはツーリング日和。
とか油断してるとバスに轢かれるか誰かを轢くので注意しながら、ひたすら走った。
ハノイから南に約100kmの町ニンビン
Bookingドットコムで予約した安ホテル、「Lam Dat Hotel」を見つけてとりあえず目の前に駐車する。
中からお姉さんが現れた。ベトナム語指さし会話帳を見せつつ、予約してきたと伝える。同時にBooking.comと伝える。
受付カウンターへ案内されて、色々聞かれるが何言ってるかわからない。
このお姉さんは英語ができるらしく英語で話してくれたけど、俺は英語もわからないんだぜ(ドヤ顔
お姉さんが宿泊者のリストを見せてきて、自分の名前があったので「あ、これこれ!○○です!」って感じで伝える。
また何か言われるが、わからない。
頑張って何度も聞いてみたら「パスポート」っぽく聞こえたのでオウム返ししたら合っていた。
パスポートを渡したら彼女のスマホでパスポートの写真を撮って返却された。そういうことか~。
ベトナムで宿に泊まる手順がわかった。
というか海外はみんなこうなのかな?
原付をホテルのロビー内まで入れるように言われた。さらにハンドルロックはしないようにも言われた。たぶん。
Bookingドットコムに書いてあった「駐車場有り」って、そういうことか~。
ロビーが駐車場とかすごく合理的かもしれん。
2階の部屋へ案内される。
日の差す窓は無いけど、ユニットバスで、無料Wifiがついて一泊1000円くらい。
安い!すっごーい!
日本一周で野宿とかしてたし、ドミトリーのライダーハウスが千円くらいだから、すごく安く感じる。
もう14時過ぎなのに昼飯を食べてなかったから、ホテルの1階の食堂へ。
メニューにはベトナム語だけでなく運良く英語も書かれていたから、ヌードルを頼んだらフォーが来た。
香草が強くて日本には無い味だったけど全然食べれる。むしろ新鮮で美味しかった。
当時のツイート
俺、生きてるー!ハノイの原付の数が多過ぎて停車する勇気が出ませんでしたwレンタルバイク屋が付けてくれたキャリア(っぽい何か)が不安しかない。ひたすらAH1(アジアハイウェイ1号)を南下して、ニンビンの宿に2時頃着。遅い昼飯でフォー。燃料計壊れてるから何となくでガソスタに寄るしかないw pic.twitter.com/a1ILKRpf03
— 遠@くちばしキャンパー (@EN_owl) March 3, 2019
そうそう、キャリアは本当に不安だったw
部屋でちょっと休んでから、ニンビンの郊外へウェーブちゃんと出掛けた。
ニンビンには世界遺産のチャンアン複合景観がある。観光の町なのだ。
「陸のハロン湾」と言われる、洞窟と川と山の絶景らしい。
しかし駐車場まで行ったところで心が折れた。
ハノイ並みに原付と車が多くてめちゃくちゃだった…観光地だもんなあ。
初日で疲れてたし、近くをぶらぶら走るだけで良いや、と諦めた。
よく言えば柔軟。悪く言えばヘタレ。
天気は良いのに何だか空気の色が淀んでる感じがする。
日本の日本海沿いの岩をたくさん持ってきた、みたいな景色。
晩ご飯はまたホテルの食堂。メニューに英語で野菜炒め的なことが書いてあったからそれを頼んだ。
失敗した…。
茹でただけのほうれんそう的な野菜が出てきた。
俺が求めていたのは日本的な野菜炒めなんだ…草オンリーとか地獄だった…。
この写真を撮ったのが半分ぐらい食ったとき。まだこんなにある。
味は草の味しかしない。
最後はもう気持ち悪かったけど、残すのは失礼だし頑張って食った…。
量が多くて他のものを注文する気にならなかった…。この日、一番つらい時間だった。
ホテルのお姉さんとちょっと話したというか、意思を疎通した(?)
年齢的にオーナーの嫁なのか娘なのかよくわからない。
中国人か韓国人かって聞かれたけど、日本人だって答えたら何だか嬉しそうにしてた。
どうやらお姉さんの姉が東京に住んでるらしく、お姉さんのスマホのLINEで、東京の姉と俺がテレビ電話することになった。
お姉さんのお姉さんは日本語が上手で、東京でベトナム料理店を開くつもりらしい。
「ベトナムの人って思ってたより気さくで話しやすいんだなあ、ただ単に言葉がわからないから俺が壁を作ってしまうだけなんだ」、と実感した。
ホテルはユニットバスで、お湯が出るし、もともとシャワーで体を洗う癖がついてるので、日本のライダーハウスと比べたら全然豪華だし、なにも不都合は無かった。
この2日目は全てが初体験で、運転してるだけで精神力使うから、疲れてしまって写真が少ないのが悔しい。
この1日だけでいったいどれだけの「わからない」があったか数え切れない。
こんなに刺激的な旅になるとは思わなかった。不安はあるが、未知への期待もある。
昨日は時差のせいで寝不足だったから、この日は早く寝た。
とても濃い一日だった。