水曜どうでしょうに影響されて原付ベトナム縦断した時の回想 1日目
1日目。
電車に揺られながら、(本当にベトナム行く気か俺…)と緊張してた。
もちろん楽しみもあったけど、不安も大きかった。
海外旅行は子供の頃に家族と行っただけで当然全て親任せだったから、実際、初めての海外旅行みたいなもの。
ベトナム語はもちろん英語も話せない。5W1Hも覚えてない。現地に知り合いがいるわけでもない。
頼みの綱は指差し会話帳ベトナム版とスマホのgoogle翻訳のみ。
色んな人に心配された理由が出発直前になってやっと実感が湧いた。
空港に到着。
バックパッカーは全然いない。ほとんどの人がスーツケースをゴロゴロ引っ張っている。
予約していたイモトのWifiを借りる。他にも通信会社の窓口はあるのにイモトだけ行列だった。
出国ゲートへ。
液体はカゴに出していたけど、歯磨き粉と石けんで引っかかったw石けんも駄目なんだなあ。
悩みに悩んで買った35リットルのザックは問題なく機内持ち込みできた。
レートは悪そうだったけど、日本円をアメリカドルとベトナムドンに両替しておく。
日本円から0を2桁取って半分にするとドンになる。一番大きい紙幣50万ドンが、2500円。
めちゃくちゃ嵩張る!
飛行機に搭乗。利用したのはベトナム航空。中国系列は心配だから嫌だ。
ベトナム航空は企業カラーが蛍光水色で、機内のブランケットもその色。
そのとき来てた服も偶然、まったく同じ色。なんか恥ずかしかった。
ベトナムのノイバイ空港に着陸。
搭乗から約5時間で着いた。
日本人が全然いない。
首都ハノイへ向かうべく、バス停を探す。
「地球の歩き方ベトナム版」に載っていた、86番のツーリストバスに乗りたい。
空港を出てすぐベトナムの交通事情が日本より遙かに危ないのがわかった。
横断歩道を歩いているのに車は止まらない。速度を調整してギリギリぶつからず走り抜けていく。
バス停がよくわからなかったから、バックパッカーの旅行者を探した。
旅行者ならまずはバスで首都へ向かうだろという予測だ。
バックパッカーが並んでいるバス停を見つけた。
バスの前にいる車掌のオッサンに、「チャンクアンカイ?(泊まるゲストハウスがあるストリート名)」と聞いたら、返事が「イエス」だったから乗った。
今思い出すと本当にイエスだったのかさえわからないから、本当に86番バスだったかどうかの確証は無い。
料金は先払いだった。紙幣を数えるのにもたつく。ケタが多すぎる…。
たまたま日本人の大学生が乗ってきて、その子もたぶん86番だと言ってたからちょっと安心した。
バスが出発する。
一応、グーグルマップで現在地を把握してハノイ旧市街方面へ向かっているか確かめた。
ポケットWifi持ってきて良かった!
バスにもWifiはあるようだけど。
バスの中から外を見てるだけでもわかるぐらい、交通事情が混沌だった。
日本で調べた通り、右側走行で、赤信号でも右折は可。
速度はそんなでもないけど、信号待ちでは隙間があればとにかく前へ前へと詰めていくし、ぶつかりそうなぐらいスレスレを追い抜いたり並走する。
交差点で普通に信号無視していくし、クラクションは常に聞こえる。
バイク乗りの地獄だ…と思った。
グーグルマップの現在地でそろそろゲストハウスの近くだとわかっていたし、バスが停車したからとりあえず降りた。降り方がわからないから丁度良かった。
グーグルマップでゲストハウス「はっぴーはうす」を探す。
ハノイ旧市街は入り組んでいて、どこも同じような景色で、とてもわかりにくい。
ゲストハウス はっぴーはうすの看板を見つけた。
入り口は路地の奥にあるようだ。他人の家の横を通り抜けていく。
宿らしき玄関で靴を脱いで階段を登ったら、突然おじさんの声がして驚いた。宿の人だった。
オーナーかと思ったけどヘルパーらしい。
日本語に安心した!
ドミトリーに荷物を置いて、ちょっと一息。
ドミトリー部屋は日本のゲストハウスと変わらない。二段ベッド。
女性のオーナーさん(以下はっぴーさん)が戻ってきたからさっそくレンタルバイク屋へ案内してもらう。
【補足】
旅を計画し始めた頃、ベトナムでレンタルバイクを借りると決めて、ネットで検索した。
ホーチミンの日本人宿「うさぎや」さんのHPで、レンタルバイク屋も紹介してくれると知り、メールで連絡を取った。
「うさぎや」さんはゴール地点のホーチミンの宿なので、スタート地点ハノイの「はっぴーはうす」さんに連絡をとってくれた。
で、はっぴーはうすさんがレンタルバイク屋を紹介してくれることになっていた。
又聞きの又聞きみたいなややこしいことになっている。
歩いてすぐ、店はあった。その名もスタイルモーターバイク。
店員は落ち着いた雰囲気のイケメンと、明るくておしゃべり好きの2人。
日本みたいに制服とか着ているわけではないから、店員なのか客なのかわからないw
英語がわからないので、はっぴーさんに全権を委ねる。もし悪人だったら絶対カモられるが、もちろんそんなことは無い。
ホンダの110ccか、ヤマハの125ccか、という話になった。
外見ではわかりにくいが間違いなくホンダのカブだ!
クロスカブを乗り回してるから慣れてるし、旅の相棒はホンダのウェーブ アルファ110に決まった。
これが契約書。
3週間のレンタルで180ドル=2万円。
中古を買うよりレンタルにして正解だった気がする。
デポジットで600ドル、6万6千円くらい払ったが、戻ってくるのでOK。
この時にバイクを借りてもいいが、出発は明日。
有料の駐車場しかないので、翌日受け取りに来ることにした。
ベトナムでのバイクの駐車は、歩道に停めたら座ってるオッサンに駐車料金を払うというシステム。
店の前は大体そんな感じらしい。
オッサンはやっぱり私服なのでただ暇して歩道に座ってる人にしか見えないw
バイク契約も済んだので、旧市街のナイトマーケット(というか夕方)をウロウロしてみる。
スマホをスられるというか、ぶんどられる事もあるらしく、迂闊にスマホを出すのが心配で写真は撮らなかった。
とにかく原付が多い。クラクションは5秒おきには絶対聞こえる。
Tシャツ屋さんに入って値段交渉らしきことをしてみたけど、安くはならなかったし、特に面白くもなかった。
日本で売ってるガイドブックには値段交渉しましょう的なこと書いてあるけど、冷静に考えたらこれ冷やかしだしなあ…。
色んな店を外から眺めつつぶらぶら歩いた。
そして道に迷った。
いや、ちゃんと目印は決めたんです。
目印の標識を決めて、しばらく歩いて、さあ戻ろうと思ったら同じような標識がいくつもあったんです。
「なんて馬鹿なんだ俺は!!!」と、今まで生きてきて四番目くらいの強さで自分を罵倒した。
旧市街はごちゃごちゃしていてどこも似ていて、しかも日が落ちて暗くなったせいでさっきの風景と一致しない。
宿の入り口はわかりにくいし、ポケットWifiを宿に置いてきたせいでまともにネットも使えない。
はっぴーさんに電話しようにも電話番号がわからない。
詰んだ…と本当に思った。
それでも何とか同じ場所を歩き回って、はっぴーはうすを見つけた。
気軽に散歩するはずが冷や汗かいた…。
宿でちょっと落ち着いてから夕食を食べに行った。
観光客向けのレストランにした。
とりあえず入る。店員が来る。英語で何か聞かれるがわからない。相手が諦めてとりあえず座れや的な雰囲気で、席へ案内してくれる。
席へ着いてから、「何名様ですか?2階で食べますか?それとも1階で?」だとわかった。
完全に全てをスルーして着席した。どんな客だよ。
よく考えれば、日本なら同じ事を聞かれるのに気づかなかった。
相手の言葉を理解しようとするんじゃなくて、想像力が大事なんだなーと思った。
メニューを持ってきてくれたので、英語でミートスパゲッティっぽいのを見つけてそれにした。
食事を摂るだけでこんな体たらくとは…。
先が思いやられる。
「会計お願いします」もわからなくて、指さし会話帳で調べてお願いした。
グーグル翻訳もあるからこっちの言いたいことは伝わるけど、相手の言葉がわからないから駄目だ。
はっぴーはうすに戻り、入り口前で写真を撮る。
ナイトマーケットがあるらしく、旧市街は完全に許容量をオーバーして大渋滞になっていた。
驚いてしまうけど、これがここの日常なんだろうなあ。
明日から、この地獄を走るのかと思うと気が滅入った。まだ始まってもいないのにw
宿でシャワーを浴びて、9時ぐらいにベッドに寝転がった。とにかく疲れたし、今後の期待より不安がいっぱいだった。
眠ろうとしていたら、日本人ゲスト2人が他の外人ゲストと余裕で英語を話していて、(なんで英語さえ話せないのにベトナム来てしまったんだ俺は…)と、ちょっと落ち込んでから寝た。
意識が途切れるまでクラクションの音は聞こえていた。